どうも。こんにちは。
ケミカルエンジニアのこーしです。
本日は、統計検定準1級向けのおすすめ参考書についてお話していきます。
統計検定準1級合格に向け、半年以上勉強し、10冊以上の参考書を読み比べました。
これらの経験を踏まえ、おすすめの参考書を紹介したいと思います!
また私自身、社会人になるまで統計学は勉強しておらず、約1年前は初心者でした。
よって、ゼロから独学で勉強している方にも参考になると思います!
効率的な勉強法や勉強時間の目安、出題傾向については下記記事で詳しく解説しています↓↓
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統計検定準1級(CBT)の難易度を解説!【合格体験談】
続きを見る
本記事の内容
・統計検定準1級向けのおすすめ参考書
・分野別のおすすめ参考書
この記事を書いた人
こーし(@mimikousi)
目次
統計検定準1級向けのおすすめ参考書
結論、下記5冊がおすすめです。
おすすめ参考書
(1)統計学実践ワークブックと(2)統計検定準1級公式問題集の2冊をメインに勉強しました。
(3)〜(5)の3冊は、「統計学実践ワークブック」の理解を深めるための参考書です。
統計検定2級までは、線形代数の知識がなくても合格できましたが、準1級では線形代数の理解が重要になってきます。
よって、数学力を鍛えておくためにも、意味がわかる線形代数をピックアップしました。
それでは、各参考書のおすすめポイントを具体的に解説していきます。
統計学実践ワークブック
統計学実践ワークブックは、統計検定を主催する「日本統計学会」の公式認定テキスト(準1級向け)です。
よって、本書の内容が理解できていれば、確実に合格することができます。
私も本書をメインに勉強し、170時間以上かけて2〜3周しました。
最初は難しいと感じるかもしれませんが、根気よく読んでいきましょう!
おすすめの読み方
- 理解できるところまで読んでみる。
- 理解できないところがあれば、紙やノートに書いて数式を追ってみる。
- 数式展開で理解できないところがあれば、ネットでググる。
- つまずいたところに付箋を貼っておく。
- 過去問を解いてからもう一度読み直す。

また、ワークブックの内容と公式問題集(過去問)の出題傾向を下表にまとめました。
重点的に勉強すべき項目がわかりやすくなったと思います。
※過去問の○印はワークブックの例題にも引用されている問題です。
章 | タイトル | 準1級過去問 | 出題ポイント |
1 | 事象と確率 |
2015年問1○ |
ベイズの定理 |
2 | 確率分布と母関数 | ||
3 | 分布の特性値 |
2015年問9 |
条件付き期待値 |
4 | 変数変換 | ||
5 | 離散型分布 |
2017年問2○ |
二項分布 |
6 | 連続型分布と標本分布 |
2015年問4○ |
正規分布 |
7 | 極限定理、漸近理論 | ||
8 | 統計的推定の基礎 | 2021年問22 | 最尤推定量 |
9 | 区間推定 |
2015年問3○ |
サンプルサイズ |
10 | 検定の基礎と検定法の導出 |
2015年問2○ |
二項分布・検定 |
11 | 正規分布に関する検定 | 2015年問7○ | 平均値検定 |
12 | 一般の分布に関する検定法 |
2016年問3○ |
適合度検定 |
13 | ノンパラメトリック法 | 2018年問5○ | 順位和検定 |
14 | マルコフ連鎖 |
2015論述1 |
推移確率行列 |
15 | 確率過程の基礎 |
2017論述2 |
ポアソン過程 |
16 | 重回帰分析 |
2015年問15 |
自由度調整済み決定係数 |
17 | 回帰診断法 | 2017年問14 | 回帰診断法 |
18 | 質的回帰 | 2019年問10 | ロジスティック回帰 |
19 | 回帰分析その他 | 2018論述2○ | トービットモデル |
20 | 分散分析と実験計画法 |
2015年問11 |
直交表 |
21 | 標本調査法 |
2015年問5○ |
集落抽出法 |
22 | 主成分分析 |
2015問16 |
主成分得点 |
23 | 判別分析 |
2016年問14 |
SVM、CV |
24 | クラスター分析 |
2017年問13 |
最近隣法、k-means |
25 | 因子分析・グラフティカルモデル |
2016論述3 |
グラフティカルモデル |
26 | その他の多変量解析手法 | ||
27 | 時系列解析 |
2015年問10○ |
DW比 |
28 | 分割表 |
2015年問12 |
オッズ比の信頼区間 |
29 | 不完全データの統計処理 |
2015年問6○ |
MAR |
30 | モデル選択 | 2021年問7 | AIC、BIC、CV |
31 | ベイズ法 |
2015年問13 |
ベータ分布 |
32 | シミュレーション |
2015年問14○ |
モンテカルロ法 |
統計検定準1級公式問題集
資格勉強のコツは、過去問を繰り返し解くことです。
よって、公式問題集(過去問)も2〜3周しましょう!
6年分(全試験)の過去問が載っているので、これ1冊で十分だと思います。
従来のPBT試験で出題されていた論述問題も載っていますが、CBT方式では出題されないので後回しで良いですね。
統計学入門(通称:赤本)
巷で有名な赤本こと「統計学入門」です。
ワークブックの数理統計(1〜13章あたり)の解説が難し過ぎたので、本書に救いを求めました。
「統計学入門」の特徴は下記の通りです。
- 確率、確率変数、確率分布の解説が詳しい。
- モーメント母関数の解説がわかりやすい。
- 中心極限定理の解説が詳しくてわかりやすい。
本書を通読した一番の効果は、「肝が据わった」ことですね。
赤本を読んだのだから、あとはワークブックを読みこなすだけと良い意味で覚悟ができました。
ちなみに、「統計学入門(赤本)」の書評記事も書いているので、興味があれば読んでみて下さい。
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【書評】「統計学入門」(東京大学出版会)
続きを見る
データ解析のための統計モデリング入門(通称:緑本)
これもまた、巷で有名な緑本こと「データ解析のための統計モデリング入門」です。
ワークブックの「31章ベイズ法」が全然理解できなかったため、本書に救いを求めました。
はっきり言って、だいぶ救われました(笑)
本書で学べる内容は、下記の通りです。
- 第12章 一般の分布に関する検定法
⇒尤度比検定 - 第18章 質的回帰
⇒一般化線形モデル(GLM) - 第30章 モデル選択
⇒赤池情報量規準(AIC) - 第31章 ベイズ法
⇒ベイズモデル
⇒MCMC法
一般化線形モデルも怖くなくなり、情報量規準に至っては実務で使いこなせるほど理解が進みました。
もちろん、ベイズ法の問題も出題されたらラッキーくらいに得意になりました。

良書すぎたので、書評記事を書いています↓↓
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【書評】データ解析のための統計モデリング入門(緑本)
続きを見る
意味がわかる線形代数
ワークブックの16章 重回帰分析や22章 主成分分析では、線形代数の知識が不可欠です。
特に、主成分分析では線形代数が理解できてないと、まったく読みこなせないと思います。
数ある参考書のなかでも、「意味がわかる線形代数」は、工学での応用(多変量解析、線型計画法、信号理論、画像処理など)を見据えた構成になっています。
「第5章 対角化の意味」は、重点的にじっくり読むことをおすすめします!
コラムにて主成分分析について解説してますが、2〜3回読んだら「なんだこんなことか」とスッキリ理解することができました。
分野別のおすすめ参考書
基本的には、上述のおすすめ5冊をしっかりやれば合格できると思います。
しかし、もっとわかりやすい参考書が知りたい方や深掘りして勉強したい方に向けて、分野別のおすすめ参考書を紹介します。
統計検定準1級の出題範囲を下記のように分類してみました。
統計検定準1級出題範囲(大別)
- 数学の基礎
- 数理統計学
- 多変量解析
- 時系列解析
- ベイズ統計学
数学の基礎
大学の基礎数学くらいは理解しておかないと、統計学を理解することは難しいです。
とはいえ、数学の基礎に時間をかけ過ぎる必要もないと思います。
よって、極力短時間で復習できる参考書がおすすめです!
マセマのキャンパス・ゼミシリーズも良いですが、社会人向けに書かれた参考書の方が計算テクニックよりも「意味の説明」に特化してくれている気がします。
例えば、下記の書籍です。
数理統計学
数理統計学は、最初に立ち塞がる大きな壁ですね。
私は何度もくじけそうになりました。
ワークブックを繰り返し読んでも理解できなかった方は、下記2冊に挑戦してみてください!
「確率統計キャンパス・ゼミ(改訂7)」は、式展開が超丁寧です。
- 確率
- ベイズの定理
- 確率分布
- モーメント母関数
また、数理統計学の教科書で最もわかりやすかったのが、黒木先生の「数理統計学」です。
こちらの本は、網羅的に書かれているのに式の展開も丁寧で、確率分布の理解を深めてくれました。
多変量解析
ワークブックの16〜19章、22〜26章は、多変量解析の内容になります。
多変量解析の参考書としては、下記3冊を参考にしました。
「多変量解析がわかる」で概要をつかみ、「多変量解析法入門」で数式の展開を詳しく学びました。
最初は行列やベクトルの式展開に苦手意識がありましたが、1〜5章を繰り返し読むことで理解できるようになりました。
練習問題もしっかりやると理解が進むのでおすすめです(特に3章)。
ただ、「多変量解析法入門」は数式展開が細かい分、サッと見直すには不適でした。
一方、「多変量解析入門」は、数式展開がほとんど無いですが、スッキリまとまっていて非常にわかりやすいです。
よって、1⇒2⇒3の順番に読むことをオススメします。
時系列解析
時系列解析は必ずと言っていいほど出題されますが、時系列解析の分野の中で、準1級の試験範囲は非常に狭いようです。
つまり、簡単な内容しか出題されません。
私は「入門はじめての時系列分析」の内容で十分でした。
簡単な入門書を読んだら、あとはワークブックを繰り返し読んで理解しましょう!
ベイズ統計学
ベイズ統計学のおすすめ参考書は下記の2冊です。
上述しましたが、私は緑本を読んだら自信をもって問題が解けるようになりました。
緑本でもいまいち理解出来ない場合は、「マンガでわかるベイズ統計学」がオススメです。
非常に丁寧に解説してくれている良書です。
マンガとはいえ、内容は本格的なので覚悟して読んだ方が良いです(笑)
最後に
統計検定準1級に合格しましたが、まだまだ理解不足なので、引き続き勉強していきます。
もっとオススメの参考書が見つかったら、追記していきたいと思います。
【追記(2024/6/5)】
統計検定1級への挑戦を決め、2回目の挑戦でやっと合格できました!
統計検定1級の不合格体験談と合格体験談も書いたので、ぜひ読んでみてください。
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