どうも。こんにちは。
ケミカルエンジニアのこーしです。
本日は、「ソフトセンサーの学習方法」についてわかりやすく解説します。
最近、多くの製造現場にソフトセンサーが導入されつつあります。
しかし、現場の技術者がソフトセンサーの中身をよく理解していなかったり、メンテナンスができないといった課題が出てきています。
そこで本記事では、ソフトセンサーの学習方法について初心者向けに解説します。
これからソフトセンサー技術を身につけたいと考えている方はぜひ読んでみてください。
本記事の内容
・ソフトセンサーの学習方法
・おすすめの学習方法
・最短ルート
この記事を書いた人
こーし(@mimikousi)
ソフトセンサーの学習方法
ソフトセンサーは、データ解析技術を元に成り立つため、統計学や機械学習、Pythonを勉強しないといけません。
私自身は、2020年から約4年ほど統計学や機械学習、Pythonを勉強していますが、これほどソフトセンサーに時間を割ける人も少ないと思います。
そこで、じっくり原理原則を学びつつも、最短で学べる方法を紹介します。
ソフトセンサーとは何かを理解する
まず、「ソフトセンサーとは何か」をサクッと理解しましょう。
わかりやすく解説したつもりなので、ぜひ読んでみてください。
-
【図解あり】ソフトセンサーとは 〜コスト削減の武器〜
続きを見る
続いて、必要となる学問を把握しておきましょう。
必要な学問
必要な学問は、大きくわけて下記の3つです。
必要な学問
- 数学(微分積分、線形代数)
- 統計学(機械学習)
- プログラミング(Python)
データを扱うため、どうしても統計学の知識が必要となります。
そして統計学を理解するためには、微分積分と線形代数の知識が必要です。
また、本格的にソフトセンサーの構築を検討する場合は、Excelでは限界があるのでPythonなどのプログラミング言語の習得が必要です。
おすすめの学習方法
ソフトセンサー技術を習得するためのおすすめの学習方法は以下の通りです。
おすすめの学習方法
- ソフトセンサー入門を読む
- 統計学を勉強する
- 線形代数を勉強する(場合によっては微分積分も)
- 機械学習(多変量解析)を学ぶ
- プログラミング(Python)の基礎を身につける
- 化学系のPython教科書を読む
それでは、一つ一つ解説してみます。
1.ソフトセンサー入門を読む
ソフトセンサーの入門書といえば、「ソフトセンサー入門」一択です。
ソフトセンサーの作成方法や注意点について体系的に学ぶことができます。
目次
- プロセスの監視・制御(プロセス管理)
- ソフトセンサー
- ソフトセンサーの問題点・課題点
- ソフトセンサーの研究例
- ケモメトリックス
「ケモメトリックス(chemometrics)」とは、化学(chemistry)と計量学(metrics)の合成語であり、日本語訳は「計量化学」となります。
ここで「5.ケモメトリックス」の内容を下記にリストアップしました。
基本的に統計学や機械学習の内容になります。
下記を読んでみて、もし内容にピンとこなければ以下に紹介する勉強方法で統計学を勉強してみてください!
5.ケモメトリックスの内容
- 3シグマ法
- Hampel identifier
- Savitzky-Goley(SG)法
- 主成分分析(PCA)
- 独立成分分析(ICA)
- 最小二乗法による線形重回帰分析(OLS)
- PLS
- サポートベクターマシン(SVM)
- サポートベクター回帰(SVR)
- Online SVR
- LASSO
- ステップワイズ法
- GAPLS
- GAWLS
- k-NN
- One-Class SVM(OCSVM)
2.統計学を勉強する
ソフトセンサーに限らず、データ解析を必要とする技術には統計学の知識が欠かせません。
思いつくものを少しだけ列挙してみました。
- 平均
- 標準偏差
- 中央値
- 正規分布
- 仮説検定
- 重回帰分析
- 情報量規準
- ベイズ推定
統計学の勉強方法については下記の記事にまとめてあります。
いきなり難しい教科書に挑戦せず「急がば回れ」方式で、下記のような3STEPで学んでいきましょう。
統計学を学ぶ3ステップ
STEP1 マンガで学ぶ
STEP2 初学者向けの教科書で学ぶ
STEP3 伝統的な教科書で学ぶ
-
【初心者向け】統計学のおすすめ本5選(特徴も解説!)
続きを見る
3.線形代数を勉強する
主成分分析やPLSなどを理解するためには線形代数の知識が不可欠です。
しかし、気負って難しい教科書を読む必要はなく、簡単な本で復習すれば問題ありません。
特にオススメは「意味がわかる線形代数」です。
統計学(主成分分析)の理解を意識して書かれている線形代数の参考書のようです。
4.機械学習(多変量解析)を学ぶ
主成分分析やPLS、サポートベクターマシンなどを理解するためには多変量解析(機械学習)を学ばないといけません。
後述の「化学系のpython教科書」でも紹介しますが、下記2冊を読めば理論的な部分とpythonコードの両方が学べます。
理論的な部分を深掘りしたい方は、下記の2冊が特にオススメです。
上記2冊で物足りなかったら読んでみてください。
5.プログラミング(Python)を身につける
近年使われているソフトセンサー技術を検証するためには、Excelでは限界があります。
よって、プログラミングを身につける必要があります。
初心者からソフトセンサーを実装するなら、Pythonがオススメです。
pythonの学習方法については下記の記事にまとめてあります。
-
【初心者向け】データサイエンスのためのPython学習方法
続きを見る
6.化学系のPython教科書を読む
4.機械学習(多変量解析)を学ぶでも触れましたが、下記2冊を読めばpythonでソフトセンサーを実装できるようになります。
化学系でデータ解析をやるなら必読の2冊かもしれませんね(著者はともに化学工学の先生です)。
また、金子先生が中級者向けの教科書を執筆してくれました。
上記2冊を読んで、PLSやSVR、RFなどでソフトセンサーを構築できるようになったら、さらに前に一歩進むために読むと良いと思います。
最短ルート
上記で紹介したおすすめの学習方法は、じっくり原理原則を学ぶ方法でした。
なので、「これ全部やったら何年かかるんだよ。」と思った方もいると思います。
そこで、最短で学習する方法についても紹介したいと思います。
まず、「ソフトセンサーとは何か」を下記記事でサクッと学びます。
-
【図解あり】ソフトセンサーとは 〜コスト削減の武器〜
続きを見る
その後、金子先生の下記教科書でpythonを使いながら、手を動かしてみます。
細かいところは理解できなくても、ソフトセンサー技術の大枠は掴むことができると思います。
そこで、「pythonで詰まったな」とか「線形代数のところがよくわからないぞ」と思ったら、上記の「おすすめの学習方法」に戻ってつまずいたところを学習してみてください。
線形代数も統計学も、難しそうな教科書に挑戦する必要はありません。
最初は「これなら読めそうかな」と思う教科書を読んでみましょう!
AIやDXが叫ばれているイマ、数学や統計学、pythonを勉強することは損にはならないと思います。
挑戦することに価値があると思って、ぜひソフトセンサー技術の習得に挑戦してみてください!
私もまだまだ勉強することがたくさんあるので、一緒に頑張りましょう!