どうも。こんにちは。
ケミカルエンジニアのこーしです。
本日は、統計学の初心者向けに「心理統計学の基礎―統合的理解のために」の書評を書いていきます。
「心理統計学の基礎」は、評判は良いけれど、どんなタイミングで読んだら良いかわからないという方も多いと思います。
そこで本記事では、難易度やおすすめの読み方についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください!
「心理統計学の基礎」の難易度
難易度 | ☆☆☆ 統計検定2級〜統計検定準1級レベル |
おすすめ度 | ☆☆☆☆(5点満点) |
読了時間の目安 | 約40時間 |
一言コメント | 「心理統計学」とタイトルにあるが、普通に統計学の教科書。 解説が丁寧で詳しい。 統計検定2級レベルだと難しく感じる。統計検定準1級対策におすすめ。 一般的な統計学の教科書と異なるアプローチで解説しているため、一読の価値あり。 |
私の場合、「心理統計学の基礎」を読む前に、統計学の入門書として、下記4冊を通読していました。
- 「統計学がわかる ファーストブック」 難易度☆
- 「統計学がわかる 回帰分析・因子分析編」難易度☆
- 「Rによるやさしい統計学」 難易度☆
- 「基本統計学(第3版)」 難易度☆☆
それでも、理解しながら読みこなすのにとても難儀しました。
確率や確率変数の期待値、分散、共分散の理解が定着していないうちは、難しいと感じると思います。
私の場合、「基本統計学(第3版)」を読みながら、なんとか読了しました。
よって、「心理統計学の基礎」は、2冊目または3冊目以降に読むべき本だと思います。
また、他の教科書ではほとんど解説されていない「相関係数の検定(無相関検定)」をベースに解説しています。
「基本統計学(第3版)」や「統計学入門(東京大学出版会)」のような基本的な教科書を補うという意味でも読んでおいた方が良いと思います。
下記は、私が考える「挫折しないための3ステップ」です。
「急がば回れ」風に、段階的に勉強していくことをオススメします。
挫折しないための3ステップ
「心理統計学の基礎」は、上記STEP3に該当するので、STEP1,2をクリアした後に挑戦すると良いと思います。
ちなみに、「STEP1やSTEP2では、どんな教科書を読んだら良いのか」について、コチラの記事で解説しています。
-
【初心者向け】統計学のおすすめ本5選(特徴も解説!)
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「心理統計学の基礎」の内容(目次)
「心理統計学の基礎」の目次を下記に示します。
第1章 心理学研究と統計(P.1~)
第2章 分布の記述的指標とその性質(P.17~)
第3章 相関関係の把握と回帰分析(P.43~)
第4章 確率モデルと標本分布(P.85~)
第5章 推定と検定の考え方(P.127~)
第6章 平均値差と連関に関する推測(P.157~)
第7章 線形モデルの基礎(P.191~)
第8章 偏相関と重回帰分析(P.223~)
第9章 実験デザインと分散分析(P.263~)
第10章 因子分析と共分散構造分析(P.317~373)
統計学の中心とも言える、「推定」「仮説検定」「回帰分析」が約140ページもあり、また「分散分析」に約50ページ、「因子分析」に約60ページを費やしており、非常に実践的な内容と言えるでしょう。
一方で、「確率」「確率分布」「標本分布」は約42ページしかなく、確率分布の基本は理解している前提で書かれています。
他の教科書との内容比較
他の統計学の入門書とカバーしている範囲を比較してみました。
心理統計学の基礎 | 基本統計学(第3版) | 統計学入門(基礎統計学Ⅰ) | Rによるやさしい統計学 | 入門統計解析 | |
難易度 | ☆☆☆ | ☆☆ | ☆☆☆ | ☆ | ☆☆ |
度数分布 (ヒストグラム) |
○ | ○ | ○ | ○ | |
1変数データ (代表値など) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
2変数データ (相関、共分散など) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
確率 確率変数 確率分布 |
△ ほぼ無し |
○ | ◎ | △ ほぼ無し |
○ |
標本分布 推定 仮説検定 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
回帰分析 | ◎ | ○ | ○ | △ R適用例のみ |
○ |
分散分析 | ○ | ○ | ○ | ||
因子分析 | ○ | △ R適用例のみ |
|||
時系列分析 | ○ |
上表を見てわかるとおり、「心理統計学の基礎」は、基礎部分(確率・確率変数・確率分布)の内容が弱いため、「基本統計学(第3版)」や「統計学入門(東京大学出版会)」で補う必要があります。
よって、まずは平易に書かれている「基本統計学(第3版)」で全体像を確認してから、「統計学入門(東京大学出版会)」で基礎を固め、次に「心理統計学の基礎」に挑戦するのがオススメです。
特徴(長所・短所)
「心理統計学の基礎」の長所と短所をまとめてみました。
短所については、他の教科書で補うしか無いのですが、前述の通り下記2冊で補えると考えています。(良い教科書があったら、また紹介します。)
長所
長所
- コンパクトなサイズ(持ち運びが楽)。
- 文章が多く、説明が詳しい。
- 線形モデルのベクトル表現がとてもわかりやすい。
- 回帰分析の解説が非常に丁寧。
- 無相関検定が学べる。
- 分散分析、因子分析が学べる。
- サンプルサイズの設計に関する記載がある。
- 別冊ワークブックの解説が詳しいので、組み合わせると理解が進みやすい。
短所
短所
- 余白が少なく、文字ばかりなのでレイアウト的に読みづらい(kindle版を大画面タブレットで読めば少し改善する)。
- 確率分布の話がほとんどない(続・心理統計学の基礎に少しだけ記載があるが、全然足りない。)
- 例題や練習問題が全く無い。⇒「心理統計学ワークブック」を別途購入する必要がある。
練習問題について
短所にも書きましたが、「心理統計学の基礎」は例題や練習問題が一切ありません。
しかし、教科書を読んだだけで練習問題を解かないと、理解が進まず、学習効率が悪くなってしまいます。
よって、「心理統計学ワークブック」を解きながら、学習していくことをオススメします。
他の教科書における章末問題のように、1章ずつ読み終わったら、ワークブックに挑戦してみましょう!
追加費用がかかってしまいますが、amazonの評価も☆4.6と高く、統計学の初心者ならは買って損はないと思います!
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まとめ
「心理統計学の基礎」は、統計検定準1級レベルの教科書です。(統計検定2級レベルでは不要です。)
特に、回帰分析、分散分析、因子分析の力がつきます。
個人的には、線形モデルのベクトル表現(多重共線性)、検定力、サンプルサイズの設計、無相関検定が印象に残っています。
最初は難しく感じるかもしれませんが、
の2冊(または同等の教科書)で基礎を固めてから挑戦してみましょう!
「心理統計学ワークブック」を併用することで、学習効率高まること間違いなしです!!
それでは、コツコツ勉強していきましょう!!